次世代の九州がんプロ養成プラン

修了者の声VOICE

佐賀大学・統合的地域がん治療専門医育成コース 令和3年度修了者

現職 京都大学大学院医学研究科 人間健康科学専攻 ビッグデータ医科学分野・特定助教

原田 陽平(佐賀大学) 医師

私は、2021(令和3年度)年度に、佐賀大学医学部医科学専攻 医学系研究科博士課程の「統合的地域がん治療専門医育成コース」を修了しました。

私は腫瘍内科医としてがんの患者さんに対する化学療法を中心とした診療を経験する中で、分子標的療法を持ってしても患者さんごとに非常に効果のバリエーションがあるのを目の当たりにしてきました。その背景には、対象分子以外の分子の挙動が共存する変異等によって異なる事や、耐性変異を獲得しているケースなど複合的な分子生物学的な背景の存在が推察され、それらのメカニズムをより深く学び、自らもその一端を明らかにする研究に携わってみたいと思うようになりました。その中で上司より、がんプロフェッショナル養成コースへ入学を勧められ入学致しました。

私は本コースでは、主に自分が経験した患者さんのがん遺伝子パネル検査でみられた病的意義不明バリアント(VUS)の機能解析を、大学院の研究テーマとして実施致しました。実際に自分で手を動かして機能解析を行って、得られた結果の考察をしていく中で、遺伝子パネル検査などの結果においても以前では気づかなかった部分などがわかり、遺伝子解析への理解も深まったように思います。また、基礎実験の文献を批判的にみるための知識なども自分で手を動かした人にしかわからない点等もあるため、研究の経験が役に立っているように思います。私は、がん薬物療法専門医は本コース入学前に取得しておりましたが、大学院在籍中に臨床遺伝専門医の資格も新たに取得することができました。この際にも、研究で学んだ知識が大いに役立った事を実感しております。

現在私は上記の施設にて、いわゆるdryやin silico解析と呼ばれるコンピュータを用いた分子の機能解析などの研究に取り組んでおります。まだまだ発展途上の分野であり、私自身そういった領域では初学者のため四苦八苦しておりますが、これまでの知識も徐々に融合させながら、がん診療の発展につながる新しい知見を見出せるようにこれからも努力して参りたいと思います。

(2022(令和4)年9月掲載)

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