宮崎大学・地域医療に貢献するがん看護専門看護師養成コース 平成26年度修了者
現職 宮崎大学医学部看護学科 成人・老年看護学講座 助教
児玉 さとみ(宮崎大学) 看護師
私は、2014(平成26)年度に、宮崎大学の「地域医療に貢献するがん看護専門看護師コース」を修了しました。当時所属していた師長から熱心に大学院に進学することを勧められたことがきっかけでした。今思えばその当時、自分の看護に限界を感じ、看護に対する楽しさややりがいが小さくなり、悩んでいた頃でした。そのことにいち早く気づいた師長が私に声をかけてくださったのだと思います。
大学院では、がん看護分野において活躍する先生方から専門的で実践的な講義を受けることができました。90分の講義が短く感じることの多い刺激的なものでした。また、科目以外に当時の担当教授から高度実践看護師共通科目Bのオンライン教育という学習方法(eラーニング)を紹介していただきました。自分の空いた時間を利用して病態・治療の学習を体系的に学習することができ、患者の治療・疾病過程を踏まえて患者を把握しやすくなったように思います。実習では実習Ⅰ、Ⅱ、Ⅲと積み重ねて患者の全体像を理解し、患者と家族に将来起こりうる問題や予後・予測をした看護介入を考え、実践していきました。思うように実践できなかったときはなぜできないと感じるのか、何が原因だと考えるのか同期と効果的な実践を行うためにデスカッションを重ねました。在学中はコースの修了生とともに事例検討を行いデスカッションする機会もありました。修了生がどのような思考過程で実践しているか知ることができ、他の修了生の発言を聞くことで自分にはない俯瞰する視点、論理的思考力を養うことの一助になったと考えています。
コース修了後も実践事例をまとめ、1か月に1回事例検討会に参加していました。勤務しながら実践事例をまとめることは難しくありましたが、タイムリーに同期や他の修了生の意見を頂くことができました。周りの協力を得ることで「がん看護専門看護師」の資格取得に至ることができたのだと思います。今でも同期やコースの修了生に相談し助言を得ています。
現在、私は宮崎大学医学部看護学科 成人・老年看護講座の助教として働いています。日本専門看護師協議会によると2019年1月現在、私のように学校・大学に所属しているがん看護専門看護師は55名(6.7%)です。821名のがん専門看護師が活動するなかで、活動の場として多くはありません。ですが、未来の看護の担い手にがん看護について伝え、臨床の看護のケアの質の向上につながるように願いながら、論理的でわかりやすく説明することを心掛け日々学生に対応しています。
今後は、現在関心のある患者の感情表出を促すNURSEを用いたコミュニケーションスキル研修会を宮崎緩和ケア関連認定看護師・専門看護師会のメンバーと継続的に企画実施していきたいと計画中です。NURSEはNaming(命名), Understanding(理解), Respecting(承認), Supporting(支持), Exploring(探索)の5つのコミュニケーションスキルの頭文字を示しており、がん患者と医療者の関係性構築の際に有効とされるスキルのことです。このような研修を積み重ねて行い、研究として発表していきたいと考えています。そのようにすることで、教育という場に所属しながらがん患者と看護師の円滑な関係性構築の一助になりたいと思います。
(2019(令和元)年8月掲載)