次世代の九州がんプロ養成プラン

修了者の声VOICE

九州大学・放射線腫瘍専門医養成コース 平成22年度修了者

現職 九州国際重粒子線がん治療センター・主任医長

寺嶋 広太郎(九州大学) 医師

私は、2008(平成20)年度から2010(平成22)年度に、九州大学大学院医学系学府博士課程・九州がんプロフェッショナル養成プラン「放射線腫瘍専門医養成コース」を受講・修了いたしました。

私は2003年度に九州大学病院 臨床放射線科に入局し、放射線科医として研鑽を積んで参りました。2007年度までは放射線診断に携わり、画像診断や消化管検査、IVRなどの修練を行ってきました。元々、放射線治療医を志しており2008年度に大学院入学と同時に放射線治療を専門とすることになりました。放射線腫瘍医は元々少ないため、各施設には1名のみということが多く、系統的な修練をつむことができる環境は限られている状況でした。そんな折、九州大学でがんプロフェッショナル養成プラン 放射線腫瘍専門医養成コースが開設されました。当時は強度変調放射線治療や体幹部定位放射線治療など高精度放射線治療が台頭し、技術的にも放射線治療の進歩が著しい時でした。一方で、多くの分子標的薬も標準治療に組み込まれ出したこともあり、より集学的な観点からがん治療を行うことの重要性が増してきた時でもありました。そのため、がんプロコースによって、放射線腫瘍学のみならず、腫瘍学の基礎から臨床に至るまで系統的に学びつつ、臨床経験をつむことができるメリットを考え、本コースに入学いたしました。

がんプロコースでは、「臨床腫瘍学や放射線腫瘍学を系統的に学び、学位を取得した指導的立場のがん専門医」を養成するカリキュラムが組まれており、講義、臨床実習、がん研究で構成されていました。大学院での講義に加え、放射線治療に特化した講義が追加され、放射線腫瘍学・生物学・物理学、放射線治療技術、併用療法など、放射線治療に関連した多岐にわたる内容を系統的に学ぶことができました。また、臨床では放射線治療医として、外来での放射線治療業務、入院患者さんの病棟管理、研修医やレジデントの指導、他科とのカンファレンスにも積極的に参加し研鑽を積みました。その傍らで臨床研究として放射線治療効果の評価方法や放射線治療時の固定具に関する研究にも取り組んで参りました。大学での2年間の勤務の後、学外の病院にて社会人大学院生として放射線治療に携わり、旧来の放射線治療から最新の治療法に至るまで、放射線治療の実臨床も系統的に経験を積むことができました。

現在、私は九州国際重粒子線がん治療センターにて、放射線治療においても特殊な重粒子線治療を行っております。重粒子線治療は、先進医療として臨床試験的な側面があるとともに、保険診療となっている前立腺癌など一部の癌種では通常診療を行っていくという複雑な状況にあります。がんプロコースで、系統的に放射線腫瘍学を学んだ上で、放射線治療に関する多岐にわたる修練を積むことができた経験が、大変活きていることを実感しております。

今後は、重粒子線治療を含め、放射線治療において、がん患者さんの治療にあたりつつ、さらなる治療の向上を目指し臨床的、基礎的研究にも携わっていきたいと考えております。

(2018(平成30)年9月掲載)

top