熊本大学・研修医・大学院一体型がん専門博士養成コース 平成28年度修了者
現職 熊本大学病院・特任助教
山村 謙介(熊本大学) 医師
私は熊本大学大学院消化器外科学に所属しています。今回、2017年度に熊本大学の「がん博士育成プログラム」を修了させていただきました。消化器外科医として手術や化学療法に携わっていくうちに、癌の転移や化学療法感受性に関わるメカニズムに興味を持ちました。そこで、2015年大学院に進学し、本コースを選択しました。
私は、ヒトの体内に生息する腸内細菌、その中でもFusobacterium nucleatumという細菌に着目し、消化器癌におけるFusobacterium nucleatumの臨床的意義について研究させていただきました。消化器癌と細菌の関係では胃癌におけるH.pylori菌が有名ですが、私はFusobacterium nucleatumが食道癌の進展や予後に関与していることを報告し、癌の進展に関わる機序として炎症性サイトカインが関与していることを論文化し学位を取得させていただきました。がんプロコースを通じて、消化器癌だけでなく、それ以外の癌種についても基礎的、分子生物学的な内容だけでなく臨床的な新しい知識も学ぶことができ大変有意義でした。
学位取得後は米国DallasのBaylor Scott & White Cancer Instituteに留学し、主に消化器癌におけるバイオマーカー探索研究を行ってきました。現在私は熊本大学消化器外科学の特任助教(地域医療ネットワーク実践学寄附講座)として勤務しており、肝胆膵外科の診療を中心に行っております。がんプロコースや留学中に研究したこと、学んだことを生かして、少しでもがん医療の発展に貢献すべく、臨床的・基礎的な研究に邁進していきたいと思います。
(2019(令和元)年8月掲載)