先端医用量子線技術科学コース
九州国際重粒子線がん治療センター・診療放射線技師
麻生 理沙子(九州大学) 診療放射線技師
私は、2024(令和6)年度に、九州大学の「先端医療量子線技術科学コース」修士課程を修了いたしました。
学部3年生のときに受講した放射線治療技術学実習において、前立腺癌患者の治療計画を実際に立てた経験から治療計画の奥深さを知り、放射線治療に強い関心を抱きました。その経験を通じて、「放射線治療の研究を行うことで放射線治療に関する知識をより深めたい」、「最先端の医療を学びたい」、「医学物理士の資格を取得し、将来放射線治療の業務に携わる際に役立てたい」という思いが芽生え、大学院への進学を志しました。
大学院在学中は、前立腺癌に対する即時適応放射線治療計画の評価に関する研究に取り組みました。研究を進める中で、指導教員のみならず九州大学の医師や診療放射線技師の方々にもご指導いただき、国内外の学会に参加する機会にも恵まれ、放射線治療の知見を深めるとともに大変貴重な経験を得ることができました。
また本コースでは他大学や海外の先生方の講義も受けることができ、それぞれのモダリティの原理や最先端の医療技術を深く学ぶことができました。こうした大学院での講義を通じて、在学中に医学物理士の資格を取得することができました。 現在、私は九州国際重粒子線がん治療センターにて、画像診断(CT、MRI、一般撮影)や治療準備(治療計画CT、固定具の作成)といった業務を行っております。重粒子線治療とは炭素イオンを用いた治療法で、従来のX線照射の治療法よりも線量集中性に優れており、正常組織を抑えながら集中的にがん細胞を破壊できることができます。本コースで培った知識と経験を活かし、患者様に寄り添いながら安全で質の高い医療を提供できるよう日々努めてまいります。
(2025(令和7)年9月掲載)
