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活動報告

【九州】がんプロ修了生の活動報告

内 容/

「AIO-WJOG YMO Round-Table Discussion」、 「AIO-WJOG Joint Conference on Gastrointestinal Cancer」参加報告

 

執筆者:九州大学病院 血液・腫瘍・心血管内科(九州がんプロ修了生) 中野 倫孝

 

○期日 平成29年12月16日(土)

○場所 丸の内トラストシティ(東京)

○会議名

 12:00~14:00 AIO-WJOG YMO Round-Table Discussion

 15:00~18:00 AIO-WJOG Joint Conference on Gastrointestinal Cancer

 

○報告内容

 ドイツの臨床試験グループであるAIOと、日本の臨床試験グループの西日本がん研究機構(WJOG)の協力のもと、若手の腫瘍内科医(Young Medical Oncologist: YMO)の育成を主眼においたプログラム「AIO-WJOG YMO Round-Table Discussion」(12:00-15:00)が開催されました。

 WJOGよりFacilitatorとして愛知県がんセンター 室圭先生をはじめ、九州大学九州連携臨床腫瘍学 馬場英司先生、聖マリアンナ大学 中島貴子先生、静岡がんセンター 山崎健太郎先生、愛知県がんセンター 谷口浩也先生、AIOよりUlm大学 Thomas Seufferlein先生、Andreas Berger先生、Munich大学 Dominik Modest先生が参加し、また本学の3名の九州がんプロプラン教員、修了生、大学院生(土橋賢司、中野倫孝、花村文康)を含む、参加者計19名が議論に加わりました。

 WJOGより3名、AIOより2名の若手医師が主任研究者として携わっている臨床試験に関して紹介の後、質疑応答が行われました。いずれの臨床試験も興味深く、特にAIOでは血中DNAをバイオマーカーにした術後補助化学療法、RASのアレル頻度に基づく抗EGFR薬の有効性の検討など、盛んにトランスレーショナルリサーチが行われていました。若手医師の育成・交流を目的とした本会議において、海外の臨床試験の考え方に触れ、国内の同世代の医師と意見交換する機会をえることが出来、とても有意義なものでした。

 

 引き続き開催された「AIO-WJOG Joint Conference on Gastrointestinal Cancer」(15:00-18:00)においては、前述のYMOのメンバーが中心となり、全国から医師が集まり、AIO・WJOGそれぞれのグループの歴史や現在の活動の概要の紹介からはじまりました。WJOGが呼吸器・消化器・乳腺の腫瘍を対象とするのに対して、AIOはより広い領域を網羅しており、Nature MedicineやLancet Oncology、Nature genetics誌等の基礎・臨床研究に多くの成果を報告するなど、大規模な活動を行っていることがわかりました。特筆すべきは、若手の人材育成システムとして、前述のYMOが臨床試験の立案に深く関わる仕組みになっています。AIOを構成する各施設からの推薦を受けたYMOが年に数回会議を行い、その中から練られたアイデアを基盤として、AIO全体に臨床試験を提案し、実行していくというシステムで、比較的経験年数の若い医師が、主任研究者として活動する背景となっているようです。その後、日本・ドイツ両国における保険制度・医薬品の承認審査プロセスの紹介があり、それぞれの国においてどのような背景をもとに、どのように臨床試験が組まれてきたのか、ということがとてもよく理解できました。

 

 このように、両グループが実際に顔を合わせて会議をするという場を通して今後も情報交換を続けていくことで、お互いに発展していくことができるのではないかと感じました。同時に若手オンコロジストとして出来ること、するべきことを、AIOのYMOを参考にしながら成長していくことができればと思いました。